少年はピエロ

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幸いジェイドは外側を向いていて、互いに背を向ける状態で寝る事が出来た。 しかし、いくら大きくともシングルベッド。二人が離れて寝る事までは不可能だった。 背中を通して相手の体温が伝わってくる。 「暖かい……」 先に眠っていたからだろうか? ジェイドの体温は常温以上あり、アリスに心地よい環境を作り上げていた。 「アリス」 背中越しに声が聞こえて来た。 「その……今日はありがとうな? こんなに人に優しくされたのは初めてだから……嬉しかった」 そんな感謝の言葉が並べられた。 急に背中の熱が高まっていく。ジェイドが照れている。 アリスにはそれが理解でき、思わず顔が緩んでしまった。 「別にそんなのいいわよ。いいから早く寝なさい――ってあんた起きてるんじゃない! ベッドから出てけ!!」 「……グー……グー」 「バレバレの芝居するんじゃない! 早く起きろー!!」 二人の初めての夜は、騒がしくも楽しそうに過ぎていった。
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