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1507号室――アリスの部屋は鳥の囀りがピークを過ぎた辺りから始まった。
「何で!? 何で目覚ましならないのー!?」
年頃の女の子にあるまじき格好で部屋を騒がしく右往左往するアリス。
一方ジェイドは寝ていた。
「あー! 昨日投げ付けた時壊れたんだきっと!!」
ベッドの傍らに置かれた装飾の一部が折られた悲しげな時計。
確かに時間を指し示す針は、昨日の夜中を指したまま無言を貫いていた。
昨日の残りであろう朝食を飲み込むように食らっていくアリス。
一方ジェイドは寝ていた。
「遅刻! 絶対遅刻だー!!
あ!ジェイド!? あんた勝手に出ていっていいから!じゃあねー!!」
リボンを締めることすらしないままにアリスは勢いよく飛び出して行った。
一方ジェイドは寝ていた。
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