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そのまま、裏道を進み続ける男。
「清水に行く前に、ち~っくと、寄り道じゃ」
振り返り、にんまりと笑う。
「さすがに、そのままの格好じゃと、色々問題があるきに」
言われて、そのまま自分の姿を見下ろす。
紺のブレザーに、ベージュのギンガムチェックのプリーツスカート。
胸のリボンは、スカートと色違いの赤のチェック。
そして、紺のソックスに、茶のローファー。
普通に生活している分には、なんの問題もない格好。
それどころか、結構お気に入りの制服なんだけど……。
確かに、先ほどの人々の姿から考えると……、
……浮くかも……。
そうして、しばらく行くと、
『仕度屋 咲』
と、書かれた、木の札がぶら下がった、長屋のような家の前に立ち止まった。
「仕立て屋じゃなくて、……仕度屋? 何するところ?」
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