~ 初瀬風 ~

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ふふん。と、意味ありげに男は笑い、ガラリと戸を開け、入って行った。 「お咲ー! また、頼みたいんじゃけんど~」 「あら、龍馬はん! お久しぶり!」 そう言って、優しそうな女性が出迎えた。 年齢的には、私と同じ位かな? ちらりと、女性は私を見る。 あれ? そういえば、この格好って、やばいんじゃなかったっけ? 女性は驚くこともなく、にっこりと笑い、男に、 「この子は、もしかして、さっきの?」 「おー! そうなんじゃ!   早いこと見つけることが出来たき、よかったちやー。」 ふふふ、と女性は笑い、 「それじゃ、用意させてもらいまひょか?」 と、奥の箪笥や、行李を開け、何やら用意し始める。 男は、そのまま、玄関先に腰をかけ、 「ち~と、まだ納得しとらんみたいじゃき、ちと、あちこち、案内してくるぜよ」 .
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