~ 初瀬風 ~

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「そうやね、一見は百聞にしかず。 一番わかりやすおすやろ」 そして、私に、ちょいちょい、と、手招きをした。 「仕度を手伝いますよって、こちらへどうぞ」 それを聞いて男は、 「わしは、外で待っちょるき」 そういって、出て行った。 そのまま、わけもわからず、私は着物を着付けられている。 何の変哲もない、無地の着物。 どうせ着るなら、もう少し可愛い着物でもいいのに。 そんなことを考えていると、 「これが、一番目立てへんからね」 と、にっこりと女性は笑った。 「こちらでの身の振り方を考えたら、また、それに合うた、着物を用意してあげるし」 そんなに、わかりやすい顔をしていたかな。 少し恥ずかしくなり、私は色々聞いてみることにした。 .
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