~ 神 風 ~

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ぎゃぎぎぎぎぎぎいぃぃーっっ!! 突如として鳴り響く音。 バスが、急ブレーキを踏み、不自然に傾いた。 何が起こったのかは分からない。 けれど、朝のラッシュで、込み合っていたバスの中では、乗客が不意を突かれ、倒れこむ。 吊皮を持っていた私も、必死にしがみついた。 が、支えのなかったサラリーマンが二人ほど、私の背に、追突してきた。 どんっ! 「え? うそっ!」 気付いた時には、大きく開いた窓から、私の体は投げ出されていた。 バスの中は混乱していて、投げ出される私に、誰も気づいては、いないようだった。 そんなことを、冷静に観察しながら、この日私は、生まれて初めて、体一つで、空を飛びました。 .
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