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……
―きゃ、―ぁあぁぁ―
……………
――、―リス―
「…ん」
うっすらとした意識の中。モゾモゾとタオルを巻き込みながら寝返りを一つ。椅子の硬さが背中に直に伝わり、また一つの寝返りをうった。
と、いきなり強引にタオルを体から引き離れ、露出した肌に冷たい空気が触った。途端に体を強く揺さぶられた。
突然のことに意識がはっきりしないまま体を起こすと、真っ青な顔をしたリアスが目の前にいる。
はっきりしてきた視力でよくリアスを見ると、微かだが身体のあちこちに真新しい傷ができている。
「リアス?どうし―」
「フェアリス!大変なの!魔物が!」
その傷はどうしたのかと聞こうとしたら、リアスが言葉を重ねる。
その焦った様子を見て、さっきから家の外遠くに聞こえてた悲鳴が耳に鮮明に入り込む。
すぐに椅子から立ち上がり、外に繋がるドアを勢いよく開けて外を見ると、確かに小物の魔物が他の家にへばり付いていた。
まだ薄暗い空の中では魔物の姿はよく見えないが、都合よく魔物の方から私の前に見た目より重そうな体を現した。
真っ赤っかの体に何気に可愛いクリクリとした黄色い目に、グロテスクな真っ黒な開いた口。
「ちゃんと口閉じときなよ。顔締まらないよ?」
そんな軽口をたたきながらニイッと薄く笑うと、気に障ったのか、その魔物はグロい口から歯を剥き出しにしてキィーー!と鳴きながら、ものすごい地響きと砂ホコリを巻き上げながら突進してきた。
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