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空晴れ渡る昼下がり。
「タオル燃やさないでよ?フェアリス」
「大丈夫だよ」
リアスと釜戸の炎の前でさっき洗濯したタオルを乾かしてると、ふと感じるリアス以外の人の気配に手を止めた。
リアスは不思議な顔をして私の顔を覗き込む。
リアスに動かないように念を押して、気配のする外に繋がるドアに手をかけて…
勢いよく開けた。
「こんにちは~。フェアリスちゃんかな?」
そこには、おじいさん。
色素の抜けた白い髪や髭を大量にたくわえ、手をひらひら振ってニコニコと優しい笑みを浮かべている。
ローブみたいな茶色くてボロイのを身体に纏い、その低い身長で私の横をすり抜けて勝手に家の中に入ってしまった。
いきなり入ってきたおじいさんをリアスは嫌な顔一つせず、水を一杯出している。
それにため息一つ付いてドアを静かに閉めた。
このおじいさんは、
私の知ってる範囲では、全ての村の中心人物・レクシェル様。
その気楽な話し方と堅苦しくない性格で、様々な村人には慕われている。
長い椅子に座ったレクシェル様は、器に入った水を飲み干すとフゥーと一息ついた。
「ほっほっほ。水、ありがとうな」
髭を撫でて目を細める。
「…レクシェル様。来て早々悪いのですが、どんなご用件ですか?」
「おお、すまない」
私が何しに来たもんだとレクシェル様に聞いてみると、ほっほっほ、と笑って白髪の自分の頭を撫でる。
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