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青々と茂る森の中。
澄んだ空気をいっぱい肺に収める。
この森にだけ生息している鳥、カルカシモがホウホウホウ…と奇妙な鳴き声をあげながら、どんよりとした空の下をクルクルと飛び回っている。
私は、今はもう渇いて腕や足にこびりついてる黒ずんだ血を少し擦りながら、少し湿ってる土を足の裏で感じながら歩いた。
口の中に残る独特の鉄の臭いのする液体を、まとめてプッと地面に吐き出す。
「…汚い。早く体を洗いたいものだわ」
少し歩くと、
わざとらしく植えてある2本の大木と大木の間から、見慣れた村が見えてきた。
あー、いい匂いがする。
今日はフライかな。
幅3Mくらいの大木の間を通ると、独特の民族衣装を揃えた女達が炊事の準備をしていた。
私をちらりと見ると、すぐに目を逸らしてソソクサと家へと入っていく。 家って言っても、土でできた白いレンガで周りと天井を固めて、ドアを取り付けた簡素のもの。
たいていの家は似たようなモノで、家の中は釜戸とか電球が温めているものだ。
この村は女しか住めない、“リリ村”。
総勢、約100人で暮らしている私達を“リリ族”といい、ここらの森の中では一番でかい村。
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