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朝目覚めたら俺の目の前に財布が浮かんでいる幻覚が見えた。
四畳半のアパート。家賃は親が払っているから知らん。おこたが真ん中に居座り、押し入れには布団や何やら色々な物が入っている。
俺は眠る前、確か押し入れは閉まっていた筈だ。確かな記憶だと断言できる。
その押し入れが開いていた。もっと驚く事に、押し入れの中身が散乱している。酒癖は悪いが、昨日酒は飲んでいない。
だが、記憶が無いだけで、飲んでたのかもしれない。
財布が浮かんでいるのは、うん。幻覚だ。まぼろし。
それか、夢。夢だ。
財布は動いた。俺が起きた事に気づいたのか、慌てているように左右に動く。
透明人間。さもなくば幽霊の類いかと思った俺は指差してこう言った。
「……幽霊?」
「うわっ」
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