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○特産業株式会社
オフィス街の一角に、その会社はあった。
(結構大きいビルだな・・・どこかで聞いたような名前の会社なんだけど・・・あぁ、思い出せない。)
満は、田舎者のように、目をキョロキョロさせながら、ビル玄関口になる大きな自動ドアを通り抜けた。
面接に来た時は、緊張のあまり感じてはいなかったが、
(やっぱり、この会社・・・どこかで聞いた事ある名前・・・)
そんな気がしていた。
頭の中の記憶を辿って、思い出そうとしながら、満はエレベーターに乗り込んだ。
今日から働く職場は、10階にある。
エレベーターのボタンを押した時、ふと思い出した。
(げ・・・ここは・・・)
記憶が鮮明に戻った時には、すでに遅かった。
「神崎さん、おはようございます。」
後ろを振り返ると、面接担当だった多田 ゆかりが立っていた。
「あ!おはようございます!今日から、よろしくお願い致します!」
満の大きな元気な声に、多田は満足げに微笑んだ。
「じゃ、案内しますね、ついてきてください。」
「はい!」
元気よく返事をしたものの、脳裏に蘇る、楽しくも、切ない過去。
「泉主任、おはようございます。」
多田が、主任という男に声を掛けた。
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