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そんなある日の事だった。
いつもより、昼食に入るのが遅れた満は、急いで休憩室に向った。
仲間達はすでに、食事に入っているはずだが、誰も食事を取っている様子はなく、休憩室が騒然としていた。
ドアを開けると、そこは修羅場と化していた。
設楽が、男に殴りかかろうとしているのを、仲間達が止めている。
その隣で、加奈子がうずくまって泣いていた。
男は、加奈子に向ってこう言った。
「君がまさか、その言葉を本気にしているとはね。
自分の立場ってものを、わかってないようだね。
だいたい、愛しているとか、愛されているとか、そんな茶番劇に付き合っているほど、僕は暇じゃないんだよ。
妻が妊娠してるのに、君が僕の家に押しかけてきて、すごく迷惑してるんだよ。」
その言葉に、今にも殴りかかりそうな設楽が叫んだ。
「お前!最低だな!!加奈子に謝れよ!!加奈子はお前をずっと信じていたんだぞ!!!お前が奥さんと別れるって言うのを、ずっと信じて待って、待って、待ち続けた!!謝れよ!!!」
「信じるなんて、馬鹿げているよ。愛なんて、最初からあるわけない。信じる奴が馬鹿なんだ。
今度君が僕の家に来て、妻がまた倒れたら、君に慰謝料を請求するから、そのつもりで居てくれたまえ。」
「てめぇ・・・」
「清さん、もういいよ。信じた私が馬鹿だったんだよ・・・」
加奈子は、泣きじゃくった。
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