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「秀人ー!」
……母さんの声。あなたもやはり、こんな時だけ迎えに来るのか。
振り返りはしない。彼女が泣いていようが、喚いていようが、もはや関係無い。
やっぱり、死のう。
もう、後戻りなんて出来ない。
僕はこの、目の前に広がる闇より、暗い道に飛び込んだ。
それは、茨の道なんてまるで生易しい、まさに賭であった。
成功はしたが、失ったものは、あまりにも……
突然、空に響き渡る轟音――!
威嚇射撃、か。
もう、迷うことはない。
僕は、一歩を踏み出した。沈む足を、必死にもたげる。声は段々小さくなる。
空から雨が、降ってきだした。
と、同時に、僕は鉄(くろがね)を引いた。
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