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「死亡確認! 容疑者は自殺した模様!」
遠巻きに見つめながら、現場に指揮を飛ばしていた、警察指揮官長。
あわよくば説得を試みたが、結局死なせてしまった。
彼は、実の父親を、違法ルートから仕入れた拳銃で殺害し、その拳銃でたった今、自殺した。
彼は……悲しき人生だった。
近くで泣いている、彼の母親にも、詳しく話を聞く必要がありそうだ。
何にせよ、遅かった。
――海岸周辺の道路を、埋め尽くす警察車両。けたましくサイレンが鳴るものもあれば、紺碧を赤とのグラデーションにさせる、車両特有の光を発しているものもあった。
これほど大掛かりにもかかわらず、一人の少年を殺してしまった。
また、報告書を書くはめになるだろう。
夕日はやがて、深い闇に消えていった。
ただ、おかしいことに、少年は目の前で死んだにもかかわらず、死体が見つからなかったのだ。
我々が聞いたのは、銃声。それと同時に、海に倒れ込んだ少年を見たのみ。
果たして少年は、本当に……――
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