ソファーの上で

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妻はどこか焦点の定まらぬ虚ろな眼で、こちら側を見ている。ソファーは、そんな妻を正面から見ることが出来ずに少しうつむいたまま、僕の事を抱きしめ返してきた。 母親に暴力を振るわれても尚、母親を守ろうとする自分の娘… 僕は、ソファーを抱きしめる両腕に、より力を込めていた。 「ママは病気なんだ。二人で治してあげないとな」 ソファーはそのあどけない顔にぎこちない笑顔を浮かべて、僕の言葉に静かに頷いた。 〈了〉
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