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「ち……父上ぇッ!!」
火急に忠政に駆け寄る弥七。忠政は朦朧とした目で弥七を見て、「来るな」と訴えているようにも窺えた。
忠政の胸から槍が抜き取られ、見る見るうちに生気がなくなっていった。
その父の姿を見て、弥七は無意識に刀を抜いていた。
「うわあああああッ!!!!この野郎おおおお!!!!」
忠勝は子供相手にも容赦なく槍を突きつけ、弥七の首に向けて水平に槍を振るう。
「悪く思うな。これも殿の目指す世の為!」
討ち取った。罪の無い子供を討ち取ってしまった。そんな罪悪感が忠勝を襲った。
しかしながらそれは杞憂に終わる。
先程までそこに居たはずの弥七は忽然と姿を消していたのだ。
「父上の……仇!!」
素早く後ろに回り込んでいた弥七に気が付くのがほんの一瞬遅れた。
弥七は高く飛び上がり、忠勝の顔面に全力で刀を浴びせた。
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