第二十五戦…全てを失った日

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必死に走っているうちに家に着いた。もう深夜になっている。 「……母上……っ……母上……!」 今にも途切れそうな声で母を呼んだ。母もそんな弥七に気付いてか玄関に走ってくる。 「弥七……!?どうしたのこの傷……!!」 「戦場で――――」 そこから先は記憶が無い。 * * * 翌朝、背中の痛みで布団から目が覚めた。 自分は斬られた――その衝撃が未だに弥七の心を支配していた。 「――起きた?弥七」 「は、母上……」 母は自分の枕元に居た。目の下にくまが出来ている――。 「昨日は大変だったね」 「はい……」 飽くまでも母は優しかった。しかし、その優しさが今は弥七を苦しめている。
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