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夢中になって走っているうちに開けた所に出た。もう敵は追ってきてはいなかった。
「はぁ……はぁ……二人とも無事か……?」
息を切らした正好が二人の元へやって来る。
「……あの伏兵の中、死んでないだけ奇跡だな」
あの伏兵は出る頃合いを間違っていた。正好が来た時点で出なければならないのが普通だ。
何にせよ、未熟な伏兵で弥七達は助かった。もう少し数が多ければ、或いはあの伏兵の指揮をそばで行っている知将が居たら。
――三人ともあそこで命を失っていただろう。
「……しかし、本隊とはぐれてしまいましたね……。無事に合流出来ればいいのですが」
逃げ切ったものの、千代の表情は晴れることはなかった。
まだ拭えない敵への恐怖や落ち武者狩りの農民。天候の急変、食糧。そして不運にも弥七達は本隊とはぐれている。
――命を落としかねない状況は続いている。
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