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件の洞窟に着き、探索すること約数時間。
最深部と思わしき場所で、竜と対面する。
“ヤツ”の全長は約20m前後。翼は無く、四足で長い尾を持つ、蜥蜴のような姿をした、予想通り中位種に分類されるであろう竜だった。
予想通りだったのはそれだけ。
そこで、俺達は、認識を改める必要があった。
“勝てない”
1%もない、と思われていた勝率は、その実、0%だった。
討伐に成功したっていう三件は全部デマだと確信した。
俺達は常に最悪の想定をする。
並のA級ブレイカーなら絶望的、と言える状況を想定し、そこから0,1%以上の勝率を作ってから挑むのだ。
故に一流は“絶望”しない。
一流は自分に出来る事、出来ない事を把握しているから、“望みが絶たれる”状況ってのは即ち死ぬとき。
だから確実に0,1%でも勝率を作ってから挑む。
今までそうやって生き残ってきた。
『運良く』でも『危ういながら』でもない。
どんなに勝率が少なくても、確実にそれをものにしてきたのだ。
しかし……
その“最悪の想定”ってやつがどれ程のぬるま湯だったかを思い知る。
“ヤツ”と向かい合った瞬間に感じたものは、確かな“絶望”だった。
逃げることも叶わない。
つまり、俺達はここで間違いなく死ぬ。
奇跡でも起きない限り。
“奇跡は起きないから奇跡。故に期待するな”
全員がそれを胸に刻み付けながら、今まで生き残ってきた筈だった。
しかし、今は全員が奇跡を願うしかなかった。
0%の勝率を0,1%に……否、小数点以下がどれだけ多くても構わない。
ほんの僅かでも、勝率が生まれるなら……
そんな奇跡を手に入れるため……
……俺達は“悪足掻き”を開始した。
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