理不尽お姉さん。

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 春、新学年。新しいクラスにようやく慣れてきた俺、沢口千裕(さわぐちちひろ)は、今日もいつものように馬鹿みたいな仲間たちと談笑していた。  「だーかーら! お前らはいつまでも脳みそが筋肉のままなんだよ」  「そこまで馬鹿じゃねえよ、俺は」  俺の右前方に居るのは茶髪のツンツンヘアーがトレードマークの西口智(にしぐちとも)。  「どうせあたしは馬鹿だよーだ」 そして左前方で開き直っているのは、前髪を上げ、ぴかりと光るおでこがトレードマークの栗原夏海(くりはらなつみ)。  二人とも恋人ができない万年独り身組だ。とは言っても二人とも顔が悪いと言うわけではない。  むしろ逆だ。  「まあ、俺の方が頭良いのは確実だな」  テストはこの二人の点数を足したとしても、負ける気はしないからな。  「ぐ! 否定できないのがつらい!」  負けを認めるかのように四つん這いになって地面を舐める智。  いやまあ、舐めてはないんだけど。  「いいじゃん別に。どうせ勝てないし!」  けなされている事に気付いてないのか、この女は。
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