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だって彼女は化粧はバッチリしているし、身につけている飾りも美しい装飾が施されているからです。
お酒を買うお金は無いのに、オシャレをするお金は有るなんて明らかに信じられません。
だからホームレスは言いました。
「…あんた、こんな底辺を這いずるドブ鼠から何度金をせびれば気が済むんだ。」
「やだぁ♪せびるなんて~。
アタシは商売をしてるだけよ、商売♪
それに自分を『ドブ鼠』なんて比喩しちゃだめよ?
貴男、絶対研けば光る原石タイプだもの!!」
きゃーー!!♪っと両手で自分の頬を押さえ体をくねらせました。
彼女は少し、いや、だいぶアクが強いようですね。
彼も巣から落ちてしまった可哀相な雛を見るような目で見上げています。
それに目が合った彼女は怪しい動きを止め、左腕に下げた籠バックの中から何かを取り出します。
シュッと右手を素早く捻ると、鼻を突く燐(リン)の匂いが広がりました。
「今日は一段と冷えるって、お偉方様が言ってたわよ?
マッチ一本でも、十分暖まれるでしょう?」
「そのマッチ一本が何で1560Gもするんだ?」
そう笑いました。
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