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かつて裕福だったこのシンディリアも、戦争によって親を亡くした孤児や、戦で大怪我をした戦士や騎士達、職を失った人々で溢れていました。
極めツケはマーメリアとの国境にある港町、ゲルニカからの難民でした。
彼らは大海を支配するマーメリア軍によって街を失ったからです。
必然的に、心の支えであるシンディリア王のお膝元へと歩を進め、シンディリア王都へと集まってきました。
美しい街並みと裏腹の、汚れた衣類を身に纏った人々は道路を占拠し、元々住んでいた貴族様達は疎んでおりました。
和平から5年たった今では区画整理も進み、難民の一部も自分達の家へと帰ることは出来ましたが、また戦争になることへの恐れや、体力、金銭的な問題で王都に残る人々も多くおりました。
しかし彼らは一様に、一番角の、一番日の当たらない、一番下水が近く、臭い匂いが漂うスラム街へと押しやられてしまったのです。
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