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そんなスラム街に、貧しい青年が居りました。
いえ、青年と言うには少しばかり、年を取っているかも知れませんね。
年齢に関してはプライバシーがあるので、本人が話してくれるのを待ちましょう。
彼は薄暗くなっていく空を見上げながら空の酒樽に腰を掛けていました。
よく見てみましょうか。
黒髪がボサボサと延び放題、髭も何日も剃っていないでしょうね。
服は伸びた襟のシャツに大きめの布を肩に掛け、ヨレヨレのカーゴパンツを身につけている位。
ワイルドと言えばワイルドでしょうが、言い方を替えれば汚らしい乞食。
そんな彼は世界を憎んでいました。
何故かって?
足元を見てください。
左足は靴を履いてますが、右足は靴どころか足が見えません。
そう、彼は右足を失っているのです。
5年前の戦争によって…。
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