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「嘘吐きは嫌いだ。意味の無い嘘を吐くから」
圧倒的な敵意に、絵無は無性に心を揺さ振られる。目の前の少女を人形にしたい。今すぐ――自分の物にしたい。
「もういいよ。黙って死ね。死んで黙れ。それすらもできないならせめて人間らしく死ね」
“しゃりん”と。少女が取り出したのは、刃渡り六センチ程のコンバットナイフだった。それが十本。一体どこにしまってあったのか、両の手一杯広がるそれはまるで扇子のように、けれどまがまがしい凶器。
「はっはっは。酷いですねえ。まるで自分が、人間よりも優れた生き物であるかのような物言いだ」
言って、絵無は笑う。
「お前は自分が人間であるかのような物言いだな」
答えて、少女は笑わない。
絵無は抑えきれない衝動のままに、少女に襲い掛かった。
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