雨の降る夜

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彼女はそんな俺の気持ち等知らない。 背中が痒いから掻いて。 って… 俺も男なのにな。 風呂あがりだと思われる彼女の香り。 “抱きしめたい” その衝動と格闘しながら、彼女の背中を掻く。 抱きしめたい、抱きしめたい、抱きしめたい…。 頭が混乱してくる。 ここで彼女を抱きしめたら、彼女はどんな顔をするんだろう…。 嫌悪の顔か、いつもの顔か…。 気が付くと、彼女が俺の顔を覗き込んでいた。 どうしたの? って、お前のせいだろ。 言ってやりたかった。
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