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そう思いオレは階段で最上階を目指していた。
最上階に到着後、オレは夜の街を眺めていた。どうせあと5分後には死ぬんだ。目にこの景色を焼き付けておきたい。
恐怖は無かった。今の苦しみから脱出出来るなら嬉しい限りだ。
だが、そんなオレにも不安はあった。両親についてだ。オレのことを今まで育ててくれた両親に対して自殺する、ということは少し考えさせられたが。オレの頭は学年最下位だ。こんな難しい事を考えても時間がかかるだけ。もう自分の事しか考えないさ。
さぁ、死のう。
そう思い手すりに足を掛けようとしたとき、誰かに肩を掴まれた。
ビクッとして後を見ると20歳ぐらいの若い男性が立っていた。髪の毛は黒色、目は茶色。顔は整っていた。
「なにしようとしてたんだい?」
男性はニコニコしながらオレに話してきた。
「あなたには関係ない。邪魔しようとしないでくれ」
冷たく言い放つオレに対して男性はその笑みを崩さずに
「関係はあるよ。ずーーーっと遠いい関係だけどね」
と言ってきた。
何を言っている。この男はオレが自殺することを知った上でオレに話しかけてくるのか?だとしたら嫌な奴だ。
「じゃあ邪魔しないでくれ。オレは今から………………自殺するんだ」
オレが言い終わった時、彼は満面の笑みから険しい顔に一変し、オレにこう言った。
「なあ少年。人生にはな、そりゃ大変な事が沢山あるよ」
「あんたに何がわかる。ちっぽけな理由だと思ってるのか?」
オレは奴の言葉を全否定した。しかし男は諦めずにオレの肩を掴み強く叫んだ。
「だがな!それを乗り越えてこそ生きる意味が見つかるんだ!俺にだってそんな時期があったさ。………でもな、今諦めたら絶対後悔する。君もな、死のうとする勇気があるなら常に死ぬ気で生きていけ!そうすればきっと楽しい人生が待ってるさ!」
男はオレに向かって強く話し、オレの頭を撫でた。そして、
「俺がお前にいいおまじないをしてやるよ。目をつむって手を胸に置いてくれ」
気持ち悪い。だが、オレは言われた通りにした。体が勝手に動いた。
「そのまま額に手を持ってきて。そうだ!じゃあ行くぞ!
我が子孫に枷られし封魔の呪いよ。今そのいましめから解き放たれよ。
【ブレイクブレイム】!
さぁ、目を開けて世界を見てご覧!世界が君を歓迎しているよ!」
目を開けると、男はそこに居なかった。
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