4465人が本棚に入れています
本棚に追加
/439ページ
だんだん祐樹がうっとうしくなってきた。さっきから祐樹だけ1人でしゃべっている。オレは話すつもりなんて全くないんだが。
「今日のテストは国語と数学と理科と社会~♪俺は満点隼斗は赤点~♪」
「うぜぇ。お前黙れよ」
知らん間に歌に変わってるし…。黙れって言われたにもかかわらず祐樹の野郎は笑っていた。
よし!騙して逃げよう。
「あっ!お前の母さんだ!」
「な、何!?なんの用だ!?」
祐樹が後ろを向いた。今だ!チャンス!
それを合図にオレは全力疾走で逃げた。
「あ……俺を騙したな!お前、俺にダッシュで勝てる………って、はぇぇ」
オレは祐樹から逃げるためだけに逃げ出したつもりだが…何これ?早過ぎじゃね?ってぐらい自分では有り得ないスピードが出ていた。
わずか数分で学校到着。全然疲れていない。
対する祐樹はオレより1分遅れての到着だった。
疲れたのか祐樹は息苦しさに顔を歪めている。
「おま、早過ぎだって…はあはあ。学校1速い俺が追いつけないだなんて…」
「知らん。お前が不調なだけだ」
これにも適当な嘘をついておいた。まさか身体能力まで強化されてるなんて思わなかったから…。
祐樹の息が調ったあたりから教室に移動したっけ。
そこから10分後、担任の教師がやって来て連絡が終わりテストになった。
「お前、流石に今回は勉強してきただろ?毎回全教科赤点なんて笑えないぞ」
例の教師が不適に笑いながら言う。オレだって取りたくてこんな酷い点を取っている訳ではない。
『な、何この問題…………簡単過ぎでしょ』
テストをやっていてわかった。学力まで上がっているということに。
一番最初の数学のテストなんか全てが足し算の様に思えてテスト中に笑ったっけ。………皆に変な目で見られたけど。
その後残っている全てのテストが終了しオレの期末テストは終了した。
テスト返却の結果、全て満点。 どうせオレが赤点だろうと思って近づいてきた奴らは驚き言葉を発する事も出来なかった。
「カ、カンニングだぁ!香川がこのような点数を取る訳がない!」
突如として、クラスの奴がこんな事を言い始めた。味方をしてくれたのは祐樹のみ。所詮、オレの信用はそんな物だった。
それ以降、オレに対するイジメが無くなった。教師の態度も激変した。急に女子が寄って来る様になった。
最初のコメントを投稿しよう!