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まず、真っ先に赤い物がそこらじゅうに広がっているのが分かった。
だが俺達はこれが何かすぐに分かった。
血だ。しかも人の。血だけじゃない。沢山の人。いや、死体が山積みになって置かれていた。
知ってる顔から知らない顔まで、間違いなく寮に住んでいた生徒だ。
「嘘……だろ?なんだよこれ!!??アルテミス!」
スパイルは泣いていた。その死体の中には、スパイルの恋人、アルテミスが血を大量に流して死んでいた。
酷い。酷すぎる。何故こんなに物を壊す?何故こんなに人を殺す?何故……何故………何故
俺達だけ生きてるんだょ………。
「アルテミス!っぅぅぅうう……」
俺には恋人を殺された人の気持ちは分からない。………が、親友の恋人だ。泣かずにはいられなかった。
「な゙あ早川……」
涙を流し声が震えているスパイルは言う。
「……んだよ?」
「た、探知魔法使えるか?」
探知魔法。俺の得意な魔法の内の1つだ。
「大の得意だ」
スパイルは涙を拭い立ち上がった。
「相手の位置探れるか?……アルテミスを殺した奴の…」
俺も立ち上がりスパイルに頷いた。
あのときの俺達には復讐することしか考えていなかった。
「頼む。俺の一生に1度のお願いだ!!そいつの居場所を探ってくれ!」
スパイルは俺に向かって土下座をした。手に血が着く事を気にもとめずに。
「そんな事するな!頭上げやがれ糞スパイル!俺達は親友だろ!?そんなことしなくたって絶対に探ってやる!」
そうだ。俺達は親友だ。そんな事してほしくない。
スパイルはゆっくり頭を上げて立ち上がった。
「……ありがとう」
その言葉を聞いてから俺は探知を開始した。
『ディレクション』
敵はまだ遠くには行っていないはずだ。まだ血が新しかった。それに、運が良いことに敵の魔法の痕跡が残っている。それを頼りに探知すれば!
俺の探知魔法は学園一と言っても過言ではない程優れている。探知範囲は半径10キロメートルだ。逃がしはしない。
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