Episode 2 初めての授業と明かされる過去

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ちょうど、敵の手の辺りから魔力を感じる。 「っく!魔法陣か!?」 敵は魔法陣を書いていた。あとこの魔法陣に覚えがあった。転移だ。時空間移動魔法。たまたま通りかかった3年生のクラスで見かけた魔法陣の仕組み。しかし、この魔法はかなりの腕がないと使えない。 過去に転移に失敗し、腕を失った者や内臓を置いて行ってしまった者が続出し、転移魔法試験に合格した者しか使用の許可が降りていない。 あの女がその試験に合格しているとは思えない。それに、公認じゃ無いとすると今回の犯人のグループはもしかして『裏切りの因縁』か? 『裏切りの因縁』とは不正に魔法を使うギルドで指名手配にされている魔法使いが多くいる。それ故、世間では裏ギルドと呼ばれている。 だとすれば……仲間に助けを求める気か!? まずい!せっかく早川が見つけてくれた敵だ!絶対逃がしはしない! 霧が辺りを覆っている中俺は3の舞を発動させる。 「--3の舞--」 炎と水の二頭のドラゴンを作り敵に向かって飛ばした。 このまま行けば間に合う! 俺の期待通り敵をドラゴンが襲った。右から炎のドラゴンが、左から水のドラゴンが勢いよく突っ込む。 「あ゙あああ゙あ゙ああ゙あ」 敵の苦しむ声が聞こえる。 なんとか転移は防げたようだ。 二頭のドラゴンが互いに敵を挟んで蒸発していく。これこそ共鳴だ。蒸発のジュワァァと言う音が俺にはドラゴンの咆哮に聞こえる。予想以上に大きいドラゴンは蒸発するまでに時間がかかりそうだ。それまで苦痛を味わう事になるのは敵だが……。 そして、ドラゴンの咆哮が終わったとき、敵はとにかく黒焦げ。肌は真っ黒になり息もしていないだろう。 終わった事を確認したスパイルは地面に右膝を着いた。 必死になっていたため魔力の過度の消費に気付いていなかった。 「はあはあはあ………アルテミス、お前の敵討ったぜ」 そう言い空を眺めた。夕焼けが血の様に赤い。いや、血見すぎたからか。 「はぁ、よし!早川ん所行くか!」 俺が立って戻ろうとしたとき、女の死体が動きだした。 ----グチュ…グチャグチャ…バキ、ボキ! 「!!??」 女の身体から黒くて丸い球体が姿を現した。
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