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「……なんてね~」
春樹は吹っ飛んだまま空中で止まった。そしてこっちを見てまた笑いはじめた。
「うっは~やばいやばいその驚いた顔。なあなあ!自分達の手見てみ?」
自分達の手?
「武器が……無い?」
俺が驚きながら答えると春樹は更に笑いだす。
「アッハハッハ!やべぇマジで傑作だわ。武器なら勝てると思ってた?なわけないでしょうが~」
空中で笑いながらクルクルと回ってやがる。くそっ!ムカつく野郎だ。
武器もダメなのか…。1分前の調子に乗っていた自分に言ってやりたい。
『天才なんて言うのをやめなさい』と。
なら何があるんだ?あと考えられる事は………転移だ。あれなら逃げれるかもしれない。
「ん?もう策は尽きたのかい?もっと足掻いてくれよ~面白いからさ」
ニヤニヤしながらこっちを向いてくる春樹。アレは病気だな。イタイ子イタイ子病だ。
「あと1つだけ策があります」
諦めかけていた2人に俺は声をかけた。
「…なんだ?」
ゲンさんが俺に反応し声を返してくる。
俺には転移がある。はっ!俺ってやっぱり天才!
「転移があります。俺なら3人同時に魔法陣無しで転移させる事ができる。戦闘から離脱しる手段です」
2人とも希望を持ったようだ。諦めかけていた所で助かる手段が出てきたからな。
「じゃあ行きます。【トランス】」
俺が浮かべた場所は俺達の隊の部屋だ。転移は思い浮かべた場所に行ける。
俺は恐る恐る目を開けた。
「マジかよ……」
俺達の最後の希望は途絶えた。景色は変わらずアジトであるビルの前、それに春樹が笑ってるという最悪な物が目に入ってくる。
「転移ね。いいね~便利だよね~。まっ、無意味だけどね」
くそが、何でこんな所で終了なんだよ……死にたくない。奴に殺されたくない。生きたい。
頭の中にあと1つだけ浮かんだ事がある。
光と闇のユニゾンスペル。
今思えば奴は俺のユニゾンスペルの完成ばかり気にしていた。そこで考えた。光と闇のユニゾンスペルなら奴の魔法を打ち砕く事ができるかもしれないと。
「くそ……ここまでか」
スパイルが力無く地面に膝を付いた。ゲンさんは立ち尽くしている。
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