静かな夜に五のお題 その1『帰り道』

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剣をめり込ませた肉は最後の足掻きで細胞を凍り付かせ、引き抜く所作を多少困難にする。 忌々しげに漏れた舌打ちはもう、崩れた肉塊の耳には届かない。 予想外の多勢相手の任務は時間が長引いた。 帰ったらクソボスに文句の一つも言ってやる。 空け始めた空は地面に染みこんで黒ずんだ血糊が命ある時の様に深紅に燃え、その場を歩き出しながら一振りした剣からは凝固し始めた赤い雫が一滴、とろりと落ちた。
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