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エレベーターの扉が開くと結城は急いでビルから飛び出し、バイクを停めた場所へと向かう。
遥か上空から降り注ぐ太陽の光が黒いバイクのボディを照らし、より格好良く魅せた。
その光景は、彼を早くバイクを走らせたいという衝動に駆り立たせる。
「新宿エリアAのヤマトビルか。飛ばせばすぐだな」
ヘルメットを被りながらそう呟くと一気にアクセルを全開にして、景色が次々と流れる速さでバイクを走らせた。
────これ以上、お前の好きにはさせねぇ。
ハンドルを握り締める両手に自然と力が込められていくとエンジン音が辺りに轟き、バイクの振動も全身に伝わる。
ビルの間を吹き抜ける春の強風が、彼の背中を前へ前へと押していた。
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