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━━━━ ヤマトビル
ここは牧野が隠れ家として利用している廃ビルで、奪った金や凶器等もここに保管していた。
「またそろそろ奪うか……」
左手に持った札束を眺めながら呟くと、右の胸ポケットにある折り畳み式のナイフを取り出した。
人から何かを奪う瞬間に見ることのできる恐怖に怯えた顔。牧野はそれがたまらなく好きだった。
「快感と金が同時に手に入るなんて最高だなぁ!」
笑いながらナイフをいじっていると、突然木製のドアが音をたてて開いた。
「誰だ!?」
牧野は座って後ろにふんぞり返っていた体を起こし、慌てて立ち上がると警戒心を強めてナイフを構えた。
「実物は、更にアホ面だね」
普通ならば凶器を向けられた事で少なからず恐怖感に襲われるのだろうが、金髪の青年はそんなことは気にも留めない様子で苦笑しながら、古ぼけたドアに寄りかかり立っていた。
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