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翌日。
太陽が昇り始め東の空が明るくなった頃。
結城はまだ眠りの中にいた。
とても穏やかな表情で眠る彼の枕元には写真が飾られており、その中には桜の木の下で寄り添いながら微笑む二人の姿があった。
この部屋は喫茶店の二階に位置しており、収納スペース、シャワー、ベッドと小さなテーブルが有るだけの質素な空間だ。
徐々に外が明るさを増し、太陽の光が室内に射し込むと少し眩しそうに顔を歪ませ、ゆっくりと瞳を開く。
「おはよう……」
まだ眠そうな声で写真に向かってそう呟くと、結城は一度大きな欠伸をしてから体を起こし、ベッドに腰掛けて外を眺める。
雲一つ無い、快晴だった。
店もどうせ夜まで暇だろう。
そう判断して、今日は店を開けずにバイクで走りに行くことに決めた。
そして、まだ目覚めきっていない体を無理矢理動かし、風呂場へと向かう。
眠気を覚ますには、少し熱めのシャワーを浴びるに限るのだ。
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