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再び一人になった店内で、結城はカウンターの隅に置かれたタバコを手に取り火を点けた。
それを口にくわえたまま、パラパラと資料をめくりざっと目を通す。
資料に載っていた男の名は、牧野健。
犯した罪は殺人・強盗・強姦など。
今は、新宿の廃墟となったビルに潜伏している可能性が高いとのことだった。
結城は一度煙を吐き出し、タバコを灰皿に置いた。
口の中に残された苦味を味わいながら、写真を自分の目の前にかざす。
────頭の悪そうなヤツだな。
そこには銀色に染めた髪を上に向かって立て、耳・鼻・口に十数個のピアスをした目付きの悪い男が写っていた。
突如、心の奥底から込み上げてくる殺意。
それに気付いた結城は吸いかけのタバコを灰皿に押し付け、愛用しているベレッタM92Fをカウンターの下から取り出した。
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