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「僕にとってのサービスだよ」
「本当に質悪過ぎる!」
二人のそんな会話の中に
「よぉ」
軽い低音の声で短い挨拶をした少年、本原雅熾が入ってきた。
短い黒髪をボサボサにした、いわゆるツンツン頭をした少年で、体幹は細くても相応に運動をしている体をしていた。
どこかあどけなさがある顔立ちで、ニッコリというより、ニッとした笑顔の少年だ。
「おはよう、雅熾」
「またお前たちと一緒とはな」
「僕も、昇降口のクラス表を見て驚いたよ」
「中一からずっとだもんなぁ。んで、何か盛り上がってたみたいだけど、何を話してたんだ?」
クスクス笑いながら、実はね、と
「朔真のこれで盛り上がってたんだ」
光司は右手の甲を雅熾に向け、小指だけ上げた。
「………」
絶句する雅熾。
有り得ない、といったものと、謀反を働かれたような気分が、そのまま面に表れた。
そう。
光司が示した行動は、
「いやいやいや! 確かに女だけど、そういう」
「この裏切り者ぉ!!」
朔真の否定は虚しく、雅熾は言うと同時に朔真の左頬を拳で殴りつけた。
ぶっ、と短い言葉を吐きながら、よろめき、椅子から床へと倒れる。
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