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「大丈夫ですか?」
星が燦然と輝く美しい夜空の中で、声がした。
落ち着いた調子ではあるが事務的なものではなく、通過儀礼のような声のトーン。
片田舎の住宅地で、どの家も消灯している。
無理もなく時刻は午前二時。
草木も眠る丑三つ時だ。
声の主は女性、いや、少女と言うべきか。
十代前半か、見積もって半ばと思われる。
少女は癖のある眩い金色の短い髪に、端麗なのだが、アジアともヨーロッパともアフリカとも異なる顔立ちをしていた。
特徴的な瞳で、海を彷彿させる深い青の瞳。
細身に色白の体躯は、まるで長期入院患者のようだ。
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