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「平気」
金髪の少女の問いに答えたもう一つの声。
その声に起伏はまるでなく、発した一瞬後には空気に溶け込み消え入るような声だった。
平坦な声の主も同じく十代前半頃の少女。
一点の曇りもない麗しく見事な白髪を腰まで伸ばし、人形のように整い、そして感情のない顔をしている。
顔立ちは金髪の少女と同様、アジアともヨーロッパともアフリカとも言えないもの。
そして、特徴的な瞳をしていた。
しかし、その瞳は金髪の少女のとはまるで違う。
金髪の少女の瞳は思わず見とれてしまうような、美しい瞳。
そう。
白髪の少女も、美しい瞳なのだが。
間違いなく美麗な瞳……なのだが。
その瞳は、
怖ろしいまでに空虚だった。
全てを吸い込み、
全てを魅了し、
全てを見透かすような瞳。
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