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「まぁ、冗談はこれくらいにして」
言いながら、光司は携帯をポケットにしまった。
「何をそんなに悩んでいるのさ?」
「……あぁ、正直口にしたくない悩みなんだがな」
「園児時代から一緒の僕にも言えない悩みなのかい?」
いや、と頭痛を堪えるように右手でこめかみを押さえながら、朔真は否定した。
「そうじゃないんだ」
「幼い頃、ナイアガラの滝で隠し事はしないって誓約したじゃないか」
「そんな事実はない」
海外へ行ったことなんて無いしな、と付け加える朔真。
「あれ? ナイアガラの滝の水から形成された雲により発生した雨によって公園に出来た水たまりの前だっけ?」
「ツッコミどころが多すぎる! 俺が言ってんのは『幼い頃』から『誓約した』までの全てが無いって言ってんだ! そしてナイアガラの滝と水たまりを間違えるなんてあるか! それにお前は雲の出身地が解るって言うのか!? あと、よくそんな台詞噛まずに言えたな!」
一遍にまくし立てるように言い放った朔真は、流石に軽く息切れした。
「お前、冗談はこれくらいにするんじゃなかったのか?」
「今のは嘘だよ」
「ああ、そうかい!」
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