第一章

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「熱っいわぁ~」 ワンピースを着た 女性が隣の友人と 話している。 大阪弁か……。 そういえば 由紀も大阪弁 だったな。 さかのぼること二年前。 俺は当時高校 2年生だった。 どこかの高校生と 同じで日々を 平凡に過ごしていた。 軽音楽部と勉強、 アルバイトを 両立するために 必死だったあのとき 俺は由紀と出会った。 「あの~軽音楽のライブってここですか?」 少し高く 伺うような声が 聞こえた。 「そうだよ。ということは君、新入生の入部希望者?」 「はいっ!1年2組の酒井千春っていいます!ギターやってました!」 「で、そっちの子は?」 酒井千春の後ろで こっちをじっと 見ていた女の子に話しかけた。 「私は…」 「あぁ~この子まだ入部するか決めてないんですよ。」 酒井千春が言った。 「そうなの。まぁ今日のライブ楽しんでってね!」 「はい!あの、先輩の 名前教えてください!」 「俺は川西太一、 太一先輩でいいよ! じゃまた」 俺はバンドメンバーとの最終確認のため部室に戻った。 「ねぇ由紀、太一先輩 かっこよくない?」 「うん…そやね」
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