2章

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よく見れば名前の脇には、小さく住所が載せられている。 突如日課に滑り込んできた失笑もののサプライズに、わくわくしながら冴えてきた眼で自称ウチュウジンの生息地を確認してみると、そこに載せられているのは近所の郵便局の名前だった。 ……局留めか、なかなかの策士だ。 この有馬君は、二月の寒空に頭を病んでしまったのだろうか。 十五歳だから、高校受験で根を詰め過ぎたのかもしれない。 私は推薦組だからもう気楽なものだけど、かわいそうに。 でもまあ、あり得ないことだけど、もし本当にアルファ=ケンタウリ星からやってきたのだったらどうしようか。 ちょっと頼めばUFOでの遊覧飛行の一つや二つくらいは奢ってくれるかもしれない。 ひょっとして、彼の星を案内なんかしてもらえて。 それで気に入ったら留学させてもらって、地球の馬鹿な人たちに文化の光を与えてあげて…… ……周りの友達は受験にかかりきりで、暇を持て余すこの時期。くだらない妄想をするのはそれなりに楽しかった。
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