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「なんで箱の中に白紙なんて入ってるんですか」
非難、恨みを込めた視線を夕暮はマリアに送る。
「あ、あれですよ。あれです」
その視線にタジタジになりながら、マリアは言葉を選びながら喋る。
「新しいトランプを買うと、入ってるじゃないですか。無くしたトランプの代わりにするあれです」
確かに入ってるけど、夕暮はそう理解しても、感情がいかんせん追いつかない。
「だからって、これはあんまりだ。今まで白紙を引いた人はどうしてたんですか?」
こうなったらここから這い上がってやる、その為にはまずは情報収集だ。
夕暮は自身の特性をいかんなく発揮する。
「それがですね。今までの歴史で白紙を引いた人はいないですよ」
「冗談ですよね」
「ここで冗談を言う度胸は私には無いです。ははは・・・・・・じゃあ私はこれで」
待って、と夕暮が言う間もなくマリアは箒で空高く舞い上がる。
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