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「私はどうしても取り戻したい物があるんだ」
「取り戻したい物ですか?」
見当もつかない事もあり、引き込まれるように無意識のうちに質問をする。
「先祖代々伝わる宝石『猫の瞳』。私はそれを取り戻す」
「なにか事情があって、無くされたんですか?」
うっすら晴妃の目に涙が浮かんでる事にビックリしながら、夕暮は自身もいつの間にか晴妃に感情輸入してる事に戸惑う。
「父が病に倒れて、そのどさくさに紛れて、見知らぬ弁護士と名乗る男に‥‥‥くっ!」
「そ、そうだったんですか。分かりました!俺に出来る事なら是非、協力します!」
夕暮の言葉を聞いた晴妃は、ニヤっと黒い笑みを浮かべる。
もちろん、それに夕暮は気づく事は無い。
「では、改めて‥‥‥よろしく頼むぞ」
「はい!」
再度差し出された晴妃の手を握る夕暮。
そこに晴妃を疑う表情は一切無い。
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