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「ここからトランプを引いてください。トランプの説明は、いらないですよね?」
マリアの言葉に頷きながら、夕暮は箱からトランプを引く。
「さてさて。どんな柄なんです?」
夕暮よりも興味津々のマリア。
目を輝かせながら、夕暮の反応を待っている。
「えっと・・・・・・はぁ?」
マリアに促される様に、トランプの柄を確認した夕暮。
その表情は苦い物を食べたような、酸っぱい物を飲んだ時のような表情。
「あの、これはなにかの間違いですよね」
マリアに見せる夕暮の手にあるトランプは、柄が一切ない白紙。
なにかの手違いだと、夕暮は再度箱に手を突っ込もうとするが、
「ダメです!」
ピシャッとマリアに伸ばした手を叩かれる。
「トランプは一人一枚と決まってるですよ。例外なんてないです」
「そ、そんな・・・・・・」
途方にくれながら、白紙のトランプを夕暮は見つめる。
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