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「ごめんなさい!」
「俺は───」
「ごめんなさい……」
「…………」
何度も謝る私をカルマがどう思ったのかはわからないけれど、色んな気持ちがぐちゃぐちゃに溢れてきて、何度も何度も謝った。
自分の事でいっぱいいっぱいで、周りの人の気持ちなんて考えられなかったんだって気付いて、今更ながらに申し訳なかった。
両親にも心配掛けていたわけだし、毎日知らないフリで笑顔で接してくれたお母さんは本当はどんな気持ちだったのかって考えると居た堪れなくなった。
それに。
カルマはあの時 “偶々” 通りかかって私を助けてくれただけなのに、
私の迂闊な行動で起こったコトに巻き込まれただけなのに、
私が『知られたくない』なんて言った所為で、面倒見なきゃならなくなったって事にも気付いた。
そんなの、迷惑以外の何物でもないはずだ。
きっとカルマじゃなかったら、救急車に乗せられ、警察に連絡され、助けてくれた人にはお礼を伝える程度で二度と会う事もなかったんだろう。
カルマは優しいから、本当に優しいから、傷だらけで弱ってた私の言葉を聞かないなんて出来なかっただけ。
うちの親がどんな風に頼んだのかはわからないけれど、カルマの事だ。引き受けたからにはって云う責任感と義務感で、私の面倒を見たに違いない。
……だから、か。
親に頼まれたから私に優しかったのか……。
そう思うと、ぽっかりと胸に真っ暗な穴が空いた。
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