二、歓迎祭

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(そう。"今は") だが……エリシアがマドルカスを何とかしてしまいさえすれば。 致命的な障害は、ひとまず消え去る。 そうなれば、危険を承知でコイツをそばに置いとく理由は、何一つ、無くなる訳だ。 何、一つ。 下僕ごっこに付き合う必要も……ない。 その時にはコイツを殺そう。 この危う過ぎる人外を葬ろう。どんなに卑劣でもいい、どれだけ残酷でもいい、交わした契約をいつまでも馬鹿みたいに守ってなどやるものか。欺いて、謀って、信用させ、信頼させ、安心しきった背中を笑顔で突き刺そう。何度も。何度も。何度も息絶えるまで何度でも。 ――俺は全力を以て生き続ける。生き残り続ける。 その障害になるのなら、あらゆる手段を手練をつぎ込んで、お前を―――― 「…………タツシ?」 「……ああ、わかってるよ」 差し出されていた手を掴み、手を引いて進む。 "今は"、……だから甘んじてやるさ。 いつか、そう遠くはないその瞬間までは―――― 「――――よろしくなエリシア」 「ええ。よろしくね。タツシ」 愛くるしい笑顔に笑顔で応えた。 ……さて。 「なあエリシア。俺はな、お前が一緒に来てくれてよかったと、たった今早速だが心底喜んでいる所なんだよ」 「ふぅん?何故かしら」 「多分、俺だけは助かる」 「?」 首を傾げてるエリシアを他所に扉を開く。その前に内側から勝手に開いた。 というより、ぶち開けられた。
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