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半ギレだ。
強気一点張りで誤魔化し通そうとしてる……んでも、なさそうだ。
「あん……? 怯えてたんじゃねえの?」
「そう言っているでしょう!」
やれやれと肩をすくめられた。エリシアは呆れきってる。
怯えてるだとか、自分がそういう情けない風に見られてたとは、俺に言われるまで、思ってもいなかったっつう感じ。
この憤りも勘違いされてたのが不愉快なだけって、そんな感じだった。
「いやけど、藍に怯えてないんならなんで俺の後ろに隠れてたんだ」
「そっ、……それは」
照れた。
顔を赤らめ明後日の方向を見るエリシアちゃん。
何故ここで照れる……。
追及するだけ無駄のような気がしてきた。
「……あー、わかったよ。とにかく全部俺の勘違いだったと」
「わ………………わかったのならまあ、結構」
「む」
返事代わりにトーストにかじり付く。
もういいや……別に理由を聞かないからって困る訳じゃねえんだ。聞いたところで困る時には困っちまう。
"処置なし"。
フェイタル
致命的だろうと看過するしかない類いの問題。
「……そういうのばっかだから、困る」
また一口噛みちぎる。
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