三、不可能避

8/30

117人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
半ギレだ。 強気一点張りで誤魔化し通そうとしてる……んでも、なさそうだ。 「あん……? 怯えてたんじゃねえの?」 「そう言っているでしょう!」 やれやれと肩をすくめられた。エリシアは呆れきってる。 怯えてるだとか、自分がそういう情けない風に見られてたとは、俺に言われるまで、思ってもいなかったっつう感じ。 この憤りも勘違いされてたのが不愉快なだけって、そんな感じだった。 「いやけど、藍に怯えてないんならなんで俺の後ろに隠れてたんだ」 「そっ、……それは」 照れた。 顔を赤らめ明後日の方向を見るエリシアちゃん。 何故ここで照れる……。 追及するだけ無駄のような気がしてきた。 「……あー、わかったよ。とにかく全部俺の勘違いだったと」 「わ………………わかったのならまあ、結構」 「む」 返事代わりにトーストにかじり付く。 もういいや……別に理由を聞かないからって困る訳じゃねえんだ。聞いたところで困る時には困っちまう。 "処置なし"。 フェイタル 致命的だろうと看過するしかない類いの問題。 「……そういうのばっかだから、困る」 また一口噛みちぎる。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

117人が本棚に入れています
本棚に追加