三、不可能避

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まじまじとこちらを見つめる視線を感じて、三秒くらい迷って振り返った。 「お前も食うか」 「え?」 「トースト。バターくらい自分で塗れんだろ」 「……ええ。そうね」 間延びした感じで応じると、エリシアが丸炬燵のそばまでにじり寄ってくる。 すぐ横で膝をたたんだが炬燵に脚は入れず、食パンにも結局手を伸ばさない。 何してんのかと思って横を見ればおわっ……俺をガン見していた。 「?」 目が合っても素知らぬ顔で首を傾げたエリシア。しかもそのカッコのまま見続けてくる。 いや「?」はこっちの台詞だ。 やむなしに俺の方が首を正面に戻す。それでも熱視線が止まない。何だコレめちゃくちゃ食い辛え。 食指も引けてしまったので、食いかけでトーストを皿に戻す。
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