三、不可能避

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手持ちぶさたになってみた俺は、籃の戻りが遅い事に気が付いた。 布団ひくだけで何分掛けてんだ。 そもそもアイツ収納場所わかってたか? 家事一切たとえ洗濯機のコンセントを挿し込む事にさえ自分の手をわずらわそうとしない女、それが籃だ。 一人では風呂に湯を張る事もできず、電子レンジを使う度に弟を呼びつけてスイッチを押させる女、それも籃だ。 まあ間違いなく布団の在処は知らねえだろう。 ……間違っても一生結婚できねんだろーなあアレ。 「ったく手のかかる……」 手伝ってやりますか。布団探し。婿は自力で探せ。 コタツから這い出る。室温との落差に身震いしていると、エリシアが不思議そうに視線を向けてきた。 「ちょっくら助けに行くわ」 手短に説明し、居間から廊下に続くドアに手をかける。 背後の新たな同居人に動く気配はない。 ついて来そうな気がしたがな……まあお前の思考傾向は追々、把握させてもらう。
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