三、不可能避

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廊下に出て左手のすぐそこが玄関だ。 右手に進み突き当たりで右側の壁を回り込むと階段が姿を現す。 その先の二階には三つの部屋が有る。 かつては四畳半が二つに六畳が二つの全四部屋だったが、藍が仕事用のスペース確保のために壁をぶち抜く大リフォームを施工した事で一部屋減った。 ああ見えて結構金持ちだ。顧客と一対一で商う個人規模の服飾デザイン業のくせに、仕事が尽きないそうで。 生活費以外を、すんなりとは、弟に与えようとしないがな。 "私の仕事を手伝ってくれればバイト代弾むのになー、のになー"……そーいう魂胆だ。 月一でアイツの着せ替え人形にならにゃあ登校時の俺の昼飯は消える。 「しっかし、今月からは月一度じゃ済まなくなるかもしれねーな……」 階段を上りきった俺は、二階廊下に藍の姿を探す。 布団を探してあちこちひっくり返している……様子は無い。 物音もしねえな。諦めて仕事場に戻ったんだろか。 まあ別に目当ては布団だし、とりあえず目的を達成しとこう。 と、布団がまとめて仕舞ってある小部屋に向かった俺。
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